ベイト導入の最大の障壁「バックラッシュ」
僕がベイトタックルを導入するにあたって、最大の心理的障壁がバックラッシュでした。
この不安は見事に的中し、導入後は手元でモジャモジャを連発…
それでもなんとかベイトタックルを使いこなしたいとの一心でキャスティングの練習をした結果…
結局のところ、ロッドを後ろに曲げることと、前に振りすぎないが重要であるとの考えに至りました。
そしてその結果、キャスティングの質自体が向上…したような…気が…?
バックラッシュってなんだ???
まずは、なぜバックラッシュが起こるのかを考えてみます。
バックラッシュを言葉で説明すると、「スプールから放出されるラインの量が、ぶっ飛ぶルアーが引っ張っていくラインの量を大幅に追い越してしまった状態」のことを指します。
ルアーが糸を引っ張ってくれるパワーが急激に小さくなると起こる、という言い方をしてもいいかもしれません。
ルアー着水後のバックラッシュ
これはメジャーなやつですね。
ルアーが着水して飛行を停止した後、サミングに失敗して糸の放出を止められずにバックラッシュするというものです。
順調に飛翔していたルアーのスピードが、ある瞬間に突然ゼロになるわけです。
上図の「ルアーのスピード≪ラインの放出スピード」となる状況の極端な例です。
デイゲームは着水地点を見ておく
デイゲームであれば、着水地点をよく見ておくという原始的な方法が最も有効なバックラッシュ回避策となります。
着水と同時にスプールを親指で押さえれば、バックラッシュはしません。
ナイトゲームは感覚勝負
夜釣りの際は、キャスト直後からスプールに親指を軽く乗せ、手元で着水を感じとった瞬間にサミングするほかありません。
これはある程度の慣れが必要であり、まずは明るい時間帯で経験を積む必要があります。
着水の見極めがポイント
いずれにしても、「いま着水した!」という状況を敏感に感じ取り、瞬時にスプールを押さえる練習が必要となります。
しかし、これは多くの場合、キャスティングの上手・下手ではなく、注意力の問題のような気がします。
キャスト直後のバックラッシュ
ベイトフィネスリールはスプール回転性能がよく、ひとたび立ち上がると回転の勢いが落ちにくいという特徴があります。
したがって、ルアーのスピードに対してスプールの回転によるライン放出が過剰になりやすいと言えます。
立ち上がりの過回転は遠心ブレーキで抑制
ベイトリールに搭載されている遠心ブレーキは、ライン放出の初速を抑制する方向に働きます。
最初のうちに過度なスピードを出さないようにする、という思想です。
ルアーの減速が顕著になる後半ではあまり作用しないため、着水時のバックラッシュには気をつける必要があります。
しかし、これは裏を返せば、後半に余計なブレーキがかからないため、ルアーに最後のひと伸びが期待できるとも言えます。
マグネットブレーキは「常に緩やかに」効く
ベイトフィネス用のリールには、マグネットブレーキが搭載されていることが多いです。
これは、キャスト直後と言うよりは、飛翔中や着水時のバックラッシュを抑制する働きがあります。
この機構は、磁力でスプールに緩やかなブレーキをかけてやることにより、徐々にスプールの回転数を落とす働きがあります。
これにより、ルアーの飛翔の減速に際しても、過剰なライン放出がなされないようになっているわけです。
マグネットブレーキは、ルアーが飛び出してから着水するまでの一連の流れでずっと働き続ける特徴があります。
ルアーの初速を出せればバックラッシュしない?
ベイトロッド専門メーカー・Fishman代表の赤塚ケンイチ氏は、ロッドのプロモーション動画等で時々「Fishmanのロッドはルアーの初速を出せるからバックラッシュしない」とコメントしています。
しかし、この表現は額面通りに受け取ると誤解を生じやすいと個人的には考えています。
むしろ初速の大きさはバックラッシュを誘発する
初速が出過ぎ、かつルアーの減速が大きいと、バックラッシュを誘発することになります。
それを抑制するための機構としてブレーキがあるわけです。
「無理なく」初速を出せるから良いのだ
Fishmanのロッドのよさは、「無理なく」初速を出せるという点にあると思います。
ルアーのスピードを出そうとすると、ロッドをついつい前に強く振り出してしまいがちです。
しかし、Fishmanのロッドの場合、竿の曲がりを利用して初速を出すことができ、そのことがバックラッシュの少なさに寄与しているものと思われます。
実は、その部分こそが、今回ブログのテーマにした「ロッドを後ろに振って曲げる」ことに繋がるのだと僕は考えています。
ちなみに、僕は実際にFishmanのロッドを使用しており、いいロッドだとも思っていますが、ぶっちゃけ「高ぇな…」とも感じています(笑)
このログを「Fishmanのロッドいいよ!買ってね!」という内容だと勘違いされては困るので、一応補足します…
ね…?高いでしょ…?いいロッドですけどね…
ロッドを「後ろに」振って曲げる
ベイトタックルに限らず、またフィネスタックルに限らず、多くの場合、ルアーを飛ばすためには「ロッドを曲げる」ことが重要だと思います。
特に軽いルアーを飛ばす際、ロッドの曲がりが非常に効いてきます。
「ロッドを前に強く振り出して初速を出す」のはNG
特に、減速が激しいライトリグの場合、この「前に強く振り出す」のがバックラッシュの大きな原因です。
後ろにロッドを振ってパワーを溜めて、体の真上や真横でリリースしてルアーを飛ばしましょう。
オーバーハンドキャストは確かに基本だが…
キャスティングの基本はオーバーハンドです。
しかし、慣れないうちにオーバーハンドキャストをすると、ルアーを水面に勢いよく叩きつけて派手にバックラッシュ…そのまま釣り終了、なんてことにもなりかねません。
サイドキャストで感覚をつかむ
ロッドを後に曲げる感覚を養うには、サイドキャストの方がやりやすいと個人的には考えています。
なぜなら、上述した「水面叩きつけバックラッシュ」が起こらないからです。
ただし、両脇に障害物のないオープンウォーターで練習しましょう。
なぜ体の前にロッドを強く振り出してはいけないのか?
体の前にロッドを振り出すと、リールを持った手が体の前に出やすくなります。
これは、ルアーの飛翔に合わせてリールも同じ方向に移動することになるので、ルアーとリールの相対速度を小さくしてしまう、つまり、ルアーが減速することと同じ効果があるのです。
手が前に動くのはごく短い時間だけなのですが、バックラッシュは一瞬で起こる現象です。
そのごく短い時間が命取りとなります。
曲がるロッドを使うことが上達への早道
曲がらないロッドでルアーにスピードをつけようとすると、どうしてもロッドを速く振りたくなります。
そうなると、ついつい体の前までロッドを強く振り出しがちに。
その結果、「硬いロッドで軽いルアーを投げるとバックラッシュする」という、よくあるNGパターンに突入してしまうのです…
軟かいロッドの投げやすさ
適度な軟かさのあるベイトロッドを使うと、「ロッドを闇雲に振らずに、弾性でルアーを飛ばす」という意識が体に染み付きます。
そのため、無理なくルアーの飛距離を出せるようになります。
無駄な力を使わずに投げると、コントロールもつけやすくなりますので、思い通りの場所にルアーを投げることができるようになります。
ベイトフィネスには上達の秘密が詰まっている
ついこの間、「メバリングにベイトフィネス のメリットはない」なんて記事を書きました。
その考え自体に変わりはありませんが、ベイトフィネスタックルでキャストするというスタイルそのものの中には、学びの要素が多くあると思います。
不都合があるからこそ上達する
スピニングにはバックラッシュの心配がないため、「ロッドの弾性を使って飛ばさないと不都合が生じる」といったことを体験できない可能性があります。
そして、その不都合を乗り越えることこそが、「ロッドの弾性を利用すると、飛距離もコントロールも上がる」という境地に到達する早道なのかもしれません。
何やら偉そうなことを書いている僕自信、まだまだキャスティングは下手くそです。
日々、自分の技量と向き合いながら、少しずつ上手くなっていきたいものです。
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