手持ちのカルコンが悲鳴をあげました…
僕がニブかっただけなのかもしれませんが、特に予兆は感じられず…
BFSばかり使っていて、15カルコンの出番が少ない時期があったのですが、この長期休暇前のメンテナンスが不十分で、内部で錆などが進行してしまっていたのかもしれません。
錆と油ぎれが同時に起こったような感触だったみたい…
ビビリながらも、フラッグシップモデルを分解…
オーバーホールに出すのが一番安心確実だとは思ったのですが、お金もかかりますし、何よりこのロックフィッシュハイシーズンに手元から1台リールがなくなるのは痛いです。
ということで、意を決して15カルコンの分解組立をすることに。
もう1台買うという選択肢もあったのでは
ねーわ。
シマノのフラッグシップモデルを僕ごときが分解してしまって大丈夫なのだろうか…という不安はありましたが、やってみれば意外と大丈夫なもので。
ポイントとなる工程がある
作業中、何点か「ここさえ気をつければ大丈夫だな」と感じたポイントがありましたので、当ブログを読んでくれている皆様に共有したいと思い、この記事を書きました。
この記事が、皆様のリールメンテナンスの良きお供になれば幸いです。
本当に重要なポイントって限られてるもんだからね。
なお、リールの分解組立は自己責任で行ってください。分解組立により生じた不具合について、当ブログは一切の責任を負いかねます。
目次
- 「ちゃんと組み直せるか?」が不安なんですよね?
- 不安① 部品を失くさないか?
- 不安② 正しい順序で組み立てられるか?
- 部品管理・工程管理が簡単・確実にできるとしたら?
- 分解組立の正しい手順は他のサイトをご覧ください
- 【気をつけること①】部品をぶっ飛ばさないこと!(特にバネ系)
- ピニオンギア用のバネ
- ウォームシャフト用のEリング(難度高め)
- クラッチ用のバネ
- ベアリング止め金具
- 【気をつけること②】部品を外した順番に並べていくこと!
- 部品の紛失防止
- 分解の逆順に組み立てればOK!
- 【気をつけること③】一工程ごとに写真を撮っていくこと!
- 元の状態がわかることが重要
- 【番外編】定期的に分解組立すること!
- 内部構造に詳しくなると、リールの不調を特定しやすい
- 不具合の予防にもつながる
- ちょっと油断するとこうなります…
- 高い道具だからこそ、自分でメンテできないといけない
「ちゃんと組み直せるか?」が不安なんですよね?
リールの分解組立って、ハードルが高いですよね。
高価なリールなら、なおさらです。
世の中には、当たり前のようにリールをバラして、清掃して、またきれいに組み上げる人がいますが、そういう人は何か特殊なスキルや道具を持っていて、僕のような素人には縁のない世界だと思っていました。
YouTubeでリールのオーバーホールの動画をあげている人なんて、私たちとは違う人種なんじゃないかなって思うわ。
(人種…?)
これまでにもリールをバラしたことはあるのですが、経験は少なく、日常的に分解組立をするなんて僕には考えられないことでした。
リールの分解組立につきまとう不安は、大きく以下の二点だと思います。
不安① 部品を失くさないか?
リールは多数のパーツで構成されています。
大きなものであればドライブギアやシャフト、小さいものになるとバネやネジなど、多種多様のパーツがあり、どれか1つでも失くせばリールが正しく組み上がりません。
こんなに細かい部品があるなんて…外から見るとわからないものね。あのバネとか、一体何に使うのかしら?
この写真で、まだ半分だよ。
写真のようにパーツを一つ一つ並べながら、「今地震が来たらどうしよう…」なんて思ったり。
まぁ、そういった天災や不可抗力の類は仕方ないにしても、自分の不注意によるパーツ紛失は防ぎたいもの。
逆に、パーツ管理さえしっかりできれば、分解組立へのハードルは一段下がるといえます。
不安② 正しい順序で組み立てられるか?
リールに限ったことではないですが、機械には正しい組み立て順序があり、これを守らないとまともな完成品にならないことがあります。
リールという釣具は、多数のパーツが複雑に組み合わさった機械であり、組み立て手順を厳密に守らなければなりません。
一方で、これは実際に組み立ててみればわかると思うのですが、特殊な技術や工具を要する工程というものはありません。
つまり、手順さえしっかり守れば組立はそれほど難しくはない、ということです。
したがって、手順の管理さえできれば、分解組立のハードルはさらに一段下がることになります。
特別な技術がなくても、工程管理がしっかりしていればちゃんと組み立てられるってことだね。
部品管理・工程管理が簡単・確実にできるとしたら?
リールの分解組立に対するハードルは心理的な要素が大きいものの、一方で技術的なハードルはそこまで高くはありません。
「高いリールが元どおりに動かなかったらどうしよう…」という不安が大きいのだと思います。
50,000円もするリールに自分の手でトドメを…考えるだけで恐ろしいわ?
しかし、実際のところ、部品の管理と工程の管理が正しくできれば、リールの組み立ては成功したようなものです。
組立技術の話だけすれば、プラモデルのほうがよほど難しいのではないでしょうか。
プラモデルって、一度はめ込むと外せなくなる部品があったりするからね。
無理にやり直そうとして、部品を壊しちゃったりとか…
この記事を読み終える頃には、リールの分解組立に対する心理的なハードルがだいぶ下がっていることと思います。
分解組立の正しい手順は他のサイトをご覧ください
ここで皆様にお断り。
この記事では、分解組立の詳細な手順は説明しません。
「15カルカッタコンクエスト オーバーホール」でググれば、分解組立の動画や記事が山ほど出てくると思うわ。
そういった記事や動画は、リールのオーバーホールに慣れている方が執筆ないしは撮影しているものが多いため、僕が説明するよりもよっぽどわかりやすい内容になっていると思います。
ただ、そういったソースには、いわゆる「素人的視点」が少ないような気がするよ。
今回のログのメッセージは、
・僕のような素人でも、ポイントに気をつければリールの分解組立ができるよ!
・詳しい手順はネットを探せばたくさんあるから、そっちを見てね!
です。
「リールの分解組立に対する心理的な不安はない。それより、15カルコンの具体的なバラし方、組み立て方が知りたい」という方にとって、この先はあまり読む意味のないものだと思います。
【気をつけること①】部品をぶっ飛ばさないこと!(特にバネ系)
リールの内部には「よく飛ぶ」部品がいくつかあります。
これらをしっかり押さえつけて作業すれば、部品紛失のリスクはぐっと下がると思います。
ピニオンギア用のバネ
こいつのことです。
飛び出すリスクはそれほど高くはありませんが、ギアボックスを開ける際には念のため注意しておきたいところです。
あら、こんなところに使われているバネだったのね。
ギヤボックスを開けた瞬間に飛び出すことはまずないのですが、何かの弾みでバネに触ってしまい、ぴょーん!とそのままどこかへ…という事態は避けたいですね。
固定されてないからね。このバネは…
ウォームシャフト用のEリング(難度高め)
個人的に、このEリングの取り外しが最も難度の高い工程だと思いました。
Eリングとはこれのことです。
ウォームシャフトとギアを固定するためのリングなのですが、外すのに結構な力が必要です。
ちょっと!これ、どうやって外すのよ!?
お、落ち着いて!ちゃんと押さえないと、どっか飛んでいっちゃうよ!
力がかかるだけに、外れた瞬間に勢いよく飛んでいってしまう可能性がありますので、作業中は親指でしっかりと押さえておく必要があります。
リングは図のように2点から同時に力を加えないと外れない仕組みになっているため、細いラジオペンチのような工具があると作業しやすいでしょう。
僕は手元にマイナスドライバーしかなく、ちょっと苦労しました。
ピンセットとか使えばよかったんじゃないの?
Eリングが外せなくてもここまでは分解できますので、この作業に不安がある人は無理しなくても良いと思います。
ちなみに、Eリングを取り外すとここまで分解できます。
リスクをとってまで分解するほどではないかなぁ…
本当はあともうちょっと分解できるのですが…ひとまず、Eリングを頑張って外したとしてもこんなもんか、という事は知っておいて損はないと思います。
クラッチ用のバネ
注意せずに作業していると意外と吹っ飛ばしてしまいそうなのが、このクラッチ用のバネです。
写真のとおり、黒いパーツ(クラッチカムといいます)を取り外す際に油断しているとやってしまうことがあるため、必ずバネを指で押さえながら作業しましょう。
こんなところにバネがあるなんて、初見は気づかないわよ!
また、取り外す時だけでなく、取り付ける時も注意が必要です。
クラッチカムを元に戻す際、下の銀色のプレート(クラッチプレート)の穴に突起をはめ込む必要があるのですが、この作業の中で、バネに力を加えて少し縮めてやる工程があります。
組み立ての工程で、わざわざバネが飛びやすい状況を作り出さないといけないのか…
その時にうっかり手を離すと、バネと、その周辺のパーツが飛んでしまう可能性があります。
巻き込み事故が発生することを考えれば、ここで紹介した中ではある意味一番厄介なパーツかもしれません。
ベアリング止め金具
僕はベアリング交換のときに実際に紛失したことがあります。
指で押さえていたつもりなのですが、その隙間を縫ってピーーーーーーン!とどこかへ行ってしまいました。
押さえていた「つもり」というのがポイントです。
どうも僕はこのパーツと相性が悪いらしく、2、3回飛ばしています。そのうち1回は完全に見当たらなくなり、メーカーから取り寄せるに至りました。
ちなみに、そのうち1つは、なぜか車の中から発見されたわ…
指でしっかり押さえておくことと同時に、ピンセットでもしっかりつかんでやることが重要です。
リールをバラそうなどと考えている人は、ベアリング交換の経験はあるだろうと勝手に想像し、あまり詳しい説明は必要ないかな?なんて思っております。
【気をつけること②】部品を外した順番に並べていくこと!
当たり前のことのようですが、超重要です。
これができているか否かで、組み立ての効率は全く変わってきます。
部品の紛失防止
当然ながら、このように部品を並べる事は紛失防止に役立ちます。
トレイをひっくり返したりしない限り、このように並べた部品が失くなる可能性はかなり低いものと思われます。
もしかしたら、大きなユニットの中に小さいパーツが紛れ込んでしまうこともあるかもしれません。
例えば、ドライブギア(メインギア)の中に細かいパーツやワッシャー等が紛れ込んでしまう可能性があります。
そういった事態を避けるために、各パーツは間隔をあけて並べたほうがいいと思います。
また、間隔を開けることによって、パーツが見やすく、取り出しやすくなるので、組み立て作業の効率も上がります。
キッチンペーパー2枚分の作業スペースを確保した方が良いね。
分解の逆順に組み立てればOK!
バラしたものを組み立て直すには、バラしたのと逆の手順をたどればオッケーです。
こういったごく単純なことが認識できれば、リールの組み立てに対する心理的なハードルはぐっと下がるのではないでしょうか。
上の方でも述べたとおり、リールの組み立て作業自体は特殊な技術など必要なく、プラモデルを作るよりも簡単です。
「バラすのはいいけど、ちゃんと組み上がるかな… ?」と心配している方、大丈夫です。
バラした順にきちんと部品を並べておけば、それが自ずと組み立ての手順書になります。
なんか、当たり前のことが当たり前にできていれば大丈夫、って感じ?
うん。特殊な工具や技術が要らないってわかると、なんだか安心してきたよ。
【気をつけること③】一工程ごとに写真を撮っていくこと!
元の状態がわかることが重要
分解の逆順に組み立てていけば大丈夫、とは言いましたが、やはりお手本がないと不安がつきまとうものです。
今はとても便利な世の中で、スマホやデジカメでいくらでも写真が撮れます。
1つ作業したら、その都度写真を撮っていきましょう。
その写真を逆にたどっていけば、それが組み立ての時工程の手本になります。
僕は今回の分解組立で130枚くらいの写真を撮りました。
スマホがグリスでベタベタになったわ。
洗えばいいと思うよ。
「逆順に組み立てれば良い」とは言え、どの部品が、どこに、どのように組み付けられていたのか?という情報があればより心強いと思います。
作業中はこれでもかというくらい写真を撮りましょう。
【番外編】定期的に分解組立すること!
今日の記事の本題はここまでです。
ここからは余談です。
様々な理由で、個人的にリールは定期的に分解組立をした方が良いと思います。
特に、今回のカルコンの不具合でそれを痛感しました。
うん。さすがにあの有様まで放置しておくのはないわ。
内部構造に詳しくなると、リールの不調を特定しやすい
今回のカルコンの不具合は、ハンドル回転時に「キーキー」と音が鳴り、引っかかりが発生するというものでした。
なんとなく、感触的にどの辺のパーツが悪いのかというのはわかるのですが、「じゃあどうすればいいのか?」ということについては、リールの内部構造に詳しくないとなかなかわからないものです。
このトラブルに際し、試しにハンドルやスタードラグを外し、ドラグベアリングワッシャーにグリスを塗布してみたのですが、状況はまったく改善しませんでした。
自分ができる限り手を尽くして、それでも解決に至らなかったときの絶望感といったら…
音が鳴っているのは、間違いなくこの辺なのに…
リールの内部にはどこに、どんな部品があって、どんな働きをしているのか、ということがあらかじめわかっていれば、早い段階で不具合の原因を特定することができ、対応をとることができます。
どのパーツがサビやすいとか、どのパーツが劣化しやすいとか、あらかじめわかっているだけでも全然違うよね。
内部構造を理解するためには、一度分解してみるのが最も手っ取り早いと思います。
ネットで写真や動画を検索して勉強するのもひとつの手だとは思いますが、かゆいところに手が届かないというか、必ずしも自分が見たいところにフォーカスしてくれているとは限りません。
不具合の予防にもつながる
普段からリールを分解組立していると、内部のパーツをきれいに保つことができます。
また、日ごろからリールの内部を覗いていると、ちょっとした異変にも気づくことができます。
「あれ?このパーツが摩耗してるな」などといったことに早めに気づくことができれば、致命的な故障につながる前に対策が取れます。
ちょっと油断するとこうなります…
分解組立を恐れるあまり、僕のカルコンはこうなってしまっていました…
ドライブギアがサビサビだった…
あら、裏の畑から江戸時代のお金を拾ってきたのかしら?
いや、リールの中から発掘されたらしいよ。
シマノのフラッグシップベイトリール・カルカッタコンクエストのドライブギアです。
幸いにして、刻み部分には錆が進行しておらず、リールの動作自体に影響はありません。
しかし、手入れが甘かったせいでこんな風になってしまったんだな…というショックが非常に大きいです。
フラッグシップモデルを使う人間として、心構えが足りてないわ!
ベイトリールは何度かばらしたことがあるのですが、ドライブギアがここまで錆びているのは初めてでした。
近いうちにもう一度バラして、KURE5-56で磨いてやらないといけませんね。
パーツが固着していた…
こちらもドライブギア絡み。
グリスと錆により、樹脂パーツがドライブギアに固着していました。
通常であれば手で簡単に取れる(というか、普通はくっついていない)パーツなのですが、今回の分解ではドライバーでひっぺがしました。
まぁ、固着したところですぐに何かの不具合につながるようなパーツではありませんが、ある日突然ドラグが機能しなくなってしまう可能性もあったわけで…
今回の不具合と直接関係のあるところではなかったのですが、トラブル予防のために、バラして確認できてよかったと思っています。
ローラークラッチがサビサビだった…
ローラークラッチってなぁに?
ハンドルの逆回転を防止するためのパーツだね。
今回の不具合の原因はおそらくここです。
パーツクリーナーをジャバジャバかけて掃除すると、赤錆がどんどん落ちてきます。
うわ!これ、錆なの!?
このパーツをよく洗浄して、十分にグリスアップしてあげたところ、異音や引っかかりは全くなくなりました。
なぜこんなになるまで気づけなかったんだ…
シマノのフラッグシップモデルをサビサビにしただなんて、リアルな知人にはとてもとても言えません。恥ずかしくて…
そして何より、ここまでの状態を放置してしまったリールに対し、釣り人として非常に申し訳なく思います。
リールの値段にかかわらず、だよ。
正常な回転を取り戻すことができて本当によかったです。
高い道具だからこそ、自分でメンテできないといけない
高いリールだから…とこれまで分解組立を躊躇していましたが、今回必要に迫られてバラしました。
基本的な事柄をしっかり守っていれば、どんな高い機種であっても分解組立を過度に恐れる必要はありません。
というよりも、高い機種だからこそ、こまめに分解して内部の状況を定期的に確認すべきということを今回強く実感しました。
カルコンBFSのほうもこれまで分解したことがなかったので、中身がどうなっていることやら…
使用品度が高い分、日々のメンテナンスもちゃんとやっているので、それほどひどいことにはなっていないと信じたいところですが…
根拠のない期待はせず、近いうちにこちらもバラしてみたいと思います。
ってか!これ、ひどくない!?